- 生活残業とは?
- 生活残業をすることでの悪影響は?
- 生活残業が多い部署は?
今回はこんな疑問を解消します。
普段は3万人規模の大手日系企業の人事として、労務管理や中途採用を担当しています。
「生活残業とは?」
- 聞いたことあるけどよくわからない
- その原因や悪影響について知りたい
そういう人は、今回の記事を読めばすべてわかる内容になっていますよ。
普段人事をしている私が、じっくりと生活残業について考えたことなので、信憑性もあります。
生活残業とは?
では早速タイトルにもある、「生活残業とは?」の答えについてお伝えしていきます。
生活残業とは○○である
簡単に言うと、
のことです。
生活費を稼ぐため、趣味にお金を使いたいため、将来が不安なため、理由は様々です。
つまり会社にとっては無駄でマイナスでしかない残業です。
生活残業の別の言い方
では、生活残業の別の言い方はあるのでしょうか?
いくつか見つかりましたので、合わせてみていきましょう。
- カラ残業
- ダラダラする残業
- 無駄な残業
- 穀潰し
カラ残業
「カラ残業」という言い方がありました。
要は中身のない空っぽな残業ということですね。
ダラダラする残業
「ダラダラ残業」という人もいるそうです。
シャキシャキと仕事をせずに、ダラダラとすることで残業代を稼ぐからですね。
無駄な残業
「無駄な残業」こちらはハッキリと無駄と言い切ってしまっていますね。
経営側からしたらまさに無駄な残業なんでしょう。
穀潰し
「穀潰し」これは違う場面で使われるかもしれません。
ですが、要は周りが稼いだお金=穀を生活残業というコストでつぶしてしまっているということですね。
生活残業の定義
ここからは生活残業の定義について解説していきます。
どこからが生活残業の定義は難しい
正直、生活残業の定義を決めるのは難しいです
どうしても一人一人の感覚になってしまいます。
定義を決めるならこの基準
そんな中であえて人事一筋の私がいろいろな人を見てきて、定義を決めました。
ズバリ生活残業の定義は次の3つになります。
- 残業時間が20時間以上しているか
- 会社に利益を生み出すか
- その人のスキルになるか
残業時間が20時間以上しているか
まずは残業時間が月に20時間を超えているかどうかです。
生活残業する人は、毎日1時間以上帰ってもいいのに帰らない状態を続けるので、結果的に20時間は超えてくるでしょう。
10時間くらいの人もいますが、10時間だと普段定時で帰っている人が突発で10時間超えてしまうというケースもあるので、20時間です。
会社に利益を生み出すか
20時間を超えたうえで、会社に利益を生み出しているかどうかがポイントです。
もちろん普段の残業も目に見えることは少ないですが、やらなければいけないことをやっている以上利益になるはずですよね。
そのお金をまったく生み出していないのであれば生活残業認定です。
その人のスキルになるか
最後、お金を生み出していなくても、例えば、
- 若手でプログラミングの勉強のために時間を使った
- 社員とコミュニケーションで話し込んでしまった
などであれば、結果的にその人の将来のためになるので、生活残業とはみなされないケースが多いです。
生活残業の原因とは?
ここからは生活残業の原因についてみていきましょう。
もっとあるかもしれませんが、よく言われている生活残業の原因は次の4つです。
- 賃金が低い
- 残業が当たり前の文化になっている
- 効率が悪い仕組みになっている
- 注意できる上役がいない
賃金が低い
まずは賃金が低いことです。従業員からすると手取りが低いからです。
手取りが低かったら、もちろんやりたいこともできないし、車や家のローンも組みづらいですよね。
これが根本原因の一番です。
残業が当たり前の文化になっている
会社全体として残業が当たり前の文化になっていることもあります。
特に古い体質の企業はそうです。残ることが当たり前で、逆に定時退社すると嫌な目で見られる
だから仕方なく生活残業するというのも原因の一つです。
効率が悪い仕組みになっている
会社の働き方が効率が悪いこともあります。
例えば、提案を一つ通すのに何階層も上の人に何回も聞かないといけない。資料の細かいフォントやルールが決まっている。
こういうことがあると、手待ちや無駄な時間が増えます。その時間が生活残業になってしまうんです。
注意できる上役がいない
風土にも繋がりますが、生活残業をしている人というのは上司が一番分かります。
その上司が注意できないから生活残業がどんどん増えていって、止められない状態になるというのも一つの原因です。
生活残業を注意できない上司の特徴は後半にまとめていますので、確認してください。
生活残業という言葉は誰が言い出した?
では、そもそも生活残業という言葉は誰が言い出したんでしょうか?
この際に少し調べてみました。
○○という説が濃厚
結論、誰が言ったか正確にはたどれませんでした。
ただ、例えば官僚やお偉いさんの立場から新たな造語が生まれる可能性が低いことや、そういう立場の人が弱い立場の人が頑張っている残業についてさげすむ発言をすると炎上するので、それはないでしょう。
○○だから広まった
その根拠は、ご存じの通り、出版業界は斜陽産業でどんどんと電子化が進んでいます。
その電子化の波として2014年あたりに大きな波が来ました。そこから、紙を取り扱う部門の社員は生活残業で稼ぎ、人によっては転職し、転職した先でも「生活残業」という言葉が使われて広まったと推測します。
https://news.mynavi.jp/article/20161222-a156
「生活残業とは?」みんなの意見を聞いてみた
あなたの生活残業に対するイメージはどうでしょう?
世間の生活残業に対するイメージをアンケート形式で集めてみましたので、多かった声をまとめてみました。
20代にとっての生活残業とは?
家族もいないしとりあえず将来に向けて貯金するためにあり(20代男性/開発部門)
新卒ですぐ帰れる雰囲気じゃないから仕方ないこと(20代女性/人事部門)
わからないことが多いから調べるために残業するけど、それを生活残業と呼ばれるのは嫌だ(20代男性/営業部門)
仕方ないけどお金も欲しいから特に悪くは思っていないという意見が最多でした。
30代にとっての生活残業とは?
子どもが生まれたばかりでこれからの養育費を稼ぐために必要なこと
(30代男性/生産技術部門)
本当はダメだけど昇進を左右するタイミングでもあるからアピール材料にしたい
(30代男性/商品企画部門)
後輩が入って自分の業務は終わったけど、まだ後輩が帰ってないから時間をつぶすことはある(30代男性/経理部門)
家や仕事での役割が変わった中で、お金やアピールが必要だからやっていいという意見が多かったです。
40代にとっての生活残業とは?
家のローンの支払いの関係で残業を頼りにしてるからなくなると困るもの
(40代男性/広報部門)
我々くらいの世代が風土を変えて残業そのものをなくす必要があること
(40代女性/人事部門)
新卒のころから癖でやってきたので、今から生活残業をやめるのは難しそう
(40代男性/経理部門)
家の大黒柱が稼がないといけないという意見と、やめなきゃいけないけど、いまさら仕事のスタイルを変えるのは難しいという意見に分かれました。
50代にとっての生活残業とは?
老後2000万円問題もあるし、残り稼げるうちに稼いでおきたいからあり。
(50代男性/人事部門)
もう転職できる年齢でもないので、いかに自分の居場所を見つけるかですね。その一つの方法として生活残業をして頑張っている感を出したりしています。
(50代女性/総務部門)
反対です。できるだけ早く帰って妻と美味しいご飯を食べます。ようやく子どもも独り立ちしてくれたので。
(50代男性/生産管理部門)
こちらも、残り少しの会社員生活で少しでも稼いでおきたい派と、自分の時間を優先したい人に分かれましたね。
生活残業する人の特徴とは?
次に生活残業をする人の特徴についてみていきましょう。
以下の記事にこのトピックに特化してまとめていますので、合わせて読んでみてください。
生活費が欲しい
原因のところでも挙げましたが、生活費が欲しい人です。
理由は様々ですが、推し活に使いたい人もいれば、妻に「もっと稼げ」と言われている人がいます。切実ですよね。
特に好きなことがない
このケースもよくいます。
特に好きなことがなく、趣味もないため、帰ったところでやることはない。
だったらとりあえず会社に残って少しでもお金を稼ごうかなという考え方の人です。
仕事の効率が悪い
仕事の効率が悪く、まじめではあるものの、定時後にやらなくてもいい資料の修正をしたりだとかですね。
要は明日でもいいことを残業代が欲しいからやっちゃう人ですね。
モチベーションが低い
モチベーションが低くて仕事をダラダラする人も生活残業をする人の特徴です。
やる気がないわけですから、最短で出世を目指すようなこともしない。
なので、できるだけ楽に、でも稼げる方法をということで生活残業する人が多いです。
仕方なくやっている
これは先ほどの組織風土にもつながります。
本当は自分の仕事が終わったら帰りたいのに帰れない人です。多くは、新卒や若手で、先輩が残っているから帰れないパターン。
逆に、先輩側も新卒が頑張っている中見捨てて帰れないパターンですね。
生活残業を見過ごす上司の特徴とは?
ここからは、生活残業を見過ごしてしまう上司の特徴を上げていきます。
経営者視点からしたら、こういう上司に手を付け始めて改善をした方がいいです。
逆に社員視点からしたら、こういう上司の下につくと生活残業しがちになります。
自分も生活残業をやっていた
何よりも一番多い特徴ですね。
結局自分が生活残業で稼いでいたから部下には注意できないんです。
自分が生活残業の味を占めているから、それをあえて部下に注意するという発想が出てこないですよね。
当たり前と思っているんですから。
残業=必要という固定観念がある
残業=必要という固まった考えがある人も多いです。
そういう上司に限って、時間に対する成果をあまり見ておらず、「とりあえず何時間頑張ったから、評価はしよう」と考えるんです。
優秀な社員が抜ける原因でもありますね。
注意できないほど気弱
上司の性格上気弱な人だと注意ができないです
生活残業がダメだと思っていて、注意したとしても「これ○○さんに頼まれているからやっているんです」とか「今日中に仕上げたいんです」とか言われると反論できないタイプですね。
悪い人ではないんですけどね。。。
生活残業が多い部署とは?
では、生活残業者が多い部署ってあるんでしょうか?
私が人事として会社のデータを見てわかったのは以下の3つです。
- 人事・総務
- 営業
- クリエイティブ系
人事・総務
一つは人事・総務系で私も属しているところです。
理由はシンプルで、「灯台下暗し」だからです。
いろいろな部署には、残業するな!効率化して働け!と言いますが、肝心の人事部門に対して言ってくる部門はないです。
なので、結果ダラダラと残業をしている人が多くなります。
営業
次に営業です。
そこまで生活残業というイメージはなかったのですが、人の目につかない時間が多いということで、その間に無駄なことをしすぎていたら、それは生活残業に当てはまるよねということです。
体力を使う部門なので、一概に「すべてが生活残業だ」とは言えないです。
クリエイティブ系
最後はクリエイティブ系ですね。これは働き方に理由があります。
十何時間集中してアイデアを考えて考えて、休んでの繰り返しですよね。なのでその休んでいるときが生活残業に近いんじゃない?とみられがちということです。
これも一概には言えないですが、残業代は高くなる傾向があります。
生活残業が与える悪影響
そろそろ疲れてきましたでしょうか?
今度は生活残業をすることによる悪影響を見ていきたいと思いいます。
改めて、何が悪いのかと、すでにやっている人は、やめたくなる内容になっていますよ。
生活残業者が多い会社への悪影響
最初に会社への悪影響を見ていきましょう。言い方を変えると経営者視点ですね。
コストがかさむ
なんといってもコストがかさみます。コストがかさんで何かが生み出されればいいんですが、生み出されるのは「無」です。
あるいは、生活残業で稼いだお金で社員が得る笑顔くらいです。
優秀な社員のモチベーションが下がる
こっちもかなり深刻です。
優秀で定時で上がる社員がいたとします。その社員が生活残業をしている人を見たらどう思うでしょうか?
もっと言うと、残業をしている人と自分が同じ評価だったり、相手の方が残業をしているから高い評価だったらどうでしょうか?
もうやめますよね。そうやって人財が流出していくんです。
生活残業をする社員への悪影響
生活残業をしている社員に起こる悪影響を紹介します。
以下の記事も参考にしてくださいね。
スキルが身につかない
繰り返しになりますが、無駄な時間を費やしているのでスキルが身に付きません。
スキルが身につかない=転職もうまくいかないor何とか転職できても、とりあえず人手が足りないからどんな人でも取るブラック企業が多いです。
周りに悪影響を与える
周りのモチベーションを下げて、周りから人が離れていきます。
そうなると仕事で悩んだ時は人に聞けなくなるし、生活残業のはずが、本当の残業で帰れなくなることもあるでしょう。
ストレスがたまる
周りから人がいなくなると、ストレスがたまります。仕事も進まないのでどんどんメンタルがやみます。
生活残業しがちな人は、物事を先延ばしにするので、結局仕事が片付かず、休日も仕事のことを考えてしまって通常のストレス発散では追い付かなくなります。
体調を崩す
結果、メンタルなど体調不良を起こして休職することになるという人を何人も見てきました。
休職したタイミングで、周りも「ああ、優しくしなきゃな」と気付くんですが、復職せずにそのまま退職する方も多いです。
生活残業のこれから【予言】
最後に、私個人の意見を書きます。
これからの世の中で生活残業がどうなっていくかをお伝えします。
日頃人事として、会社視点で物事を考えているので大きく外れることはないと思っています。
世間の流れは生活残業をなくす流れになる
すでに始まっているところもありますが、生活残業をなくす流れになります。
- コスパ
- タイパ
- 効率化
- DX
これらが重視される世の中になっていますよね
さらに、「自分にとっての幸せとは何か」を考えさせるような書籍や映画も増えてきています。
なので、自分の時間を大切にするために、生活残業はなくなる流れに行くことは間違いないでしょう。
生活残業は企業によって二極化する
そんな中で、生活残業をうまくやめさせられる会社とそうでない会社の二極化が激しくなると予言します。
組織改革できる企業は伸びる
なぜなら、改革できる企業は元々資本金も潤沢にあり、DXだったり新たな策を検討する余裕もあります。
なので、組織風土改革の優先順位を上げられる余裕もあるので、生活残業が消えていくんです。
結果優秀な人財も残り、売上も上がる循環です。
余裕のない企業は廃れる
一方、資金繰りに苦しい会社は組織改革なんかに使えるお金はなく、目の前の仕事をするので精一杯です。
なので、生活残業をなくせずコストがかさみ廃れていきます。
こういう会社がやりがちなのが、「働き方改革セミナー」みたいなのを一日限定で外部講師を呼んでやったりするケース。
もちろん一日で会社の風土が変わることもなく、数万円を捨てただけで終わることが多いです。
生活残業に頼っている会社・社員は環境を変えるべき
つまり、生活残業に頼っている会社だったり、生活残業を続けている人は、手遅れになる前に、今すぐ環境を変えるべきなんです。
遅くなればなるほど、転職は不利になります。年齢の高さ=不合格率と言っても過言ではありません。
先ほどの、廃れていく会社に取り残されたくなければ、今からできることをやっていきましょう。
まだ間に合いますから。